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恐竜ガールフェスティバル
「えェ?」
もうほとんど空のペットボトルだ。
「フフゥン、厨二病のポーは嬉しいんだろう。プテラと間接チューが出来て!」
どうやらプテラはボクっ子のようだ。
彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、ボクの敏感な辺りをポンポンと平手で叩いた。
「ゴックン、別に」
思わずボクはエビのように腰を曲げてしまった。
無性に胸が高鳴りドキドキしてきた。
だがいくら可愛らしくても相手は怪人だ。
間接チューが出来て舞い上がるワケにはいかない。
「ねえェ、ボクの部屋は?」
プテラがボクに聞いてきた。
「え、部屋ですかァ?」
まさか本当にプテラも泊まる気なのだろうか。
「フフッ、ちょうどティランちゃんの隣りの部屋が空いてるわ。来て!」
ティランはプテラの腕を引っ張って家の中を案内した。
「いやいやァ、ちょうどじゃないですよ。そこはゲストルームなんです。不意にお客さんが来たとき用に空けてあるんですよ」
ボクは慌てて説明した。だが彼女たちは聞いていない。
「ここがトイレよ。プテラちゃんなら使って良いわ」
ティランがトイレを案内した。
「あ、あのォ、まさか。プテラさんも家に泊まるの?」
なんとなく訊くのが怖い。
「もちろんよ。だってポーは怪人の詰め合わせセット一年分が当たったんじゃん」
プテラは楽しげに微笑んだ。
「うッあのですね。恐竜ガールフェスティバルじゃないんですから」
ボクは頭を抱えた。
二人はティラノサウルスとプテラノドンをモチーフにした怪人だ。
見た目はアイドルみたいに可愛らしいが、これではボクの家はすでに悪の秘密結社に占拠された状態だ。
「それから、あとでトリケラトプスのトリちゃんも来るからよろしくね」
「えットリちゃん。まだ家に怪人が来るのか?」
これでは、まさに怪人シェアハウスだ。
本気で恐竜ガールフェスティバルの開催を考えた方が良さそうだ。
おしまい
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