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ポンコツ怪人
玄関先のエントランスで火を吹かれては堪らない。
「わかりました。ではお試し期間として十年ほどお使いになってください」
尻野アンナは笑顔で促した。
「どんだけ長いお試し期間なんですか?」
「では、お気に召さなければ、こちらの方にご連絡ください」
連絡先が書かれた受渡し書をボクに寄越した。
「あのォ……」
返答する間もなく玄関先に怪人のティランを置いて配達員の尻野アンナは消えてしまった。
エントランスにはボクとティランの二人だけだ。
「……」
このまま無下に放り出すのは気まずい。
「フフゥン、ティランちゃんの好きなのは鳥のササミよ」
突然、ティランは好物を言い始めた。
「はァ、そうなんですか」
「野菜は全般的に苦手なの。特にピーマンはブゥーね」
ティランは眉をひそめ親指を下に向けて、ベェーと舌を出した。
「はァ、そうなんですね」
そりゃァティラノサウルスは肉食だからな。
「フフゥン、ポーのお尻も美味しそうね。今度、たっぷり味わってあげるわ」
ティランはペロッと舌なめずりをしてボクの尻をポンポンと叩いた。
「いやいや、結構ですよ。味わわなくって」
ボクはサッとお尻を両手でガードした。
こんな美少女怪人にお尻をかじられては堪らない。
「じゃァ、ポー。これからよろしくね」
まるで幼馴染みのように馴れ馴れしくボクに肩を組んできた。
女子からこんなフランクな接し方をされたのは初体験だ。
ものすごく甘い匂いがボクの鼻孔をくすぐっていった。
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