ティラン

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ティラン

 ボクは気晴らしにティランを連れて近くの青空公園まで散歩に出かけた。  すっかりエリカの事は忘れたみたいだ。 「公園には子供もいるからね。頼むから乱暴なことはやめてくれよ」 「フフゥン、お尻をかじるのは?」 「ダ、ダメだよ。お願いだから問題を起こさないでくれよ」  ボクは手を合わせて頼んだ。  まったく美少女怪人のティランは野生児のようだ。 「おいおい、ティラン。あんまりジャンプするな」  いくら注意してもおとなしくしない。他の子どもたちとは全然違った。ひとりだけ身体能力が段違いだ。  外へ出て放っておくとピョンピョン飛び跳ねてイタズラしていた。さすがに怪人なので並の身体能力ではない。  公園で遊んでいると可愛らしいので子供たちには人気だ。だが怪人なのでカッとなると何をするかわからない。子供たちに噛みついてケガをさせないか心配だ。 「わァこの子怪人なの?」  近所の悪童ヒロがティランにちょっかいを出してきた。 「ああァティランちゃんだ。仲良くして上げてね」  ボクは遊ぶよう勧めたが、ティランはおかしな事を自慢した。 「フフゥン、ティランちゃんは火が吹けるのよ」  大きな胸を張って笑ってみせた。 「えェッマジか。見せてェ、見せてェ!」  子供たちは無邪気にせがんだ。  慌ててボクは彼女を制した。 「おバカさんか。子供たちのいる公園で火を吹くなよ。危ないな」  子供たちにケガをさせたら、それこそ大事(おおごと)だ。 「何よ。ティランちゃんはおバカさんじゃないわ」  彼女はお(かんむり)だ。
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