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ティラン
「わかったから怒らないでくれよ。あとでティランの好きな鳥のササミを買って上げるから」
「マジで、ラッキー!」
すぐに機嫌を直してくれた。
なんとも現金な怪人だ。鳥のササミで買収できればお安いご用だ。
さっそくボクは公園の近くの肉屋で注文した。
「ええェッと、鳥のササミを三百グラムね」
「ふぅん足りないよ。ポー。五十キロくらいバァーンって買ってよ」
ティランはボクの肩に両手を乗せ足をバタバタさせた。
「あのなァ、そんなに大量に買えるワケねえェーだろォ。だいたい鳥のササミを五十キロも買う金なんかないよ。東京サファリパークじゃないんだから」
「何よ。ケチんボねえェ。だから彼女が出来ないのよ」
「ほっとけよ。だいたい五十キロの肉なんか食えるのか?」
「もちろんよ。牛一頭くらいなら軽くペロリよ」
長い舌でペロッと唇を舐めた。
「どんな怪獣ですか?」
本当なのか。牛一頭食べるとしたら食費にいくら掛かるのだろう。軽くめまいがしてきそうだ。
ようやく家へ帰ってきた。
「ふぅ」
ほんの少し公園まで散歩をしただけなのに汗だくだ。
その時、上空から大きな鳥のようなモノが飛んできた。頭の上からバサバサッと羽ばたく音がした。
「えェ?」思わずボクは首をすくめ、振り仰いだ。
見たこともない怪鳥が上空を舞っていた。
まさか、都会にこんな巨大な怪鳥が現れるのか。
いや、しかし怪鳥ではない。怪人だ。しかもよく見ると美少女の翼竜怪人だ。
「よォ、ティラン!」
その翼竜怪人はボクたちの前に舞い降りて挨拶をした。
「あップテラちゃん。いらっしゃい。よく来たね」
すぐさま二人はハグをした。二人は旧知の仲みたいだ。
「な、なにィ、プテラちゃんだってェ?」
ボクだけが蚊帳の外だ。
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