91人が本棚に入れています
本棚に追加
卑猥な水の音が夜の寝室に響いていた。
「い、いや……」
私がか細い声で拒むと、男は鼻笑った。
「こっちの口の方が正直だな。よろこぶように俺の指をくわえ込んでいる」
男がこねるように奥をかき回すと快感が全身を駆け抜けて、私はたまらず声を漏らした。
甘たるい声を聞かれたくなくてシーツに顔を押し付けると、そんな私を追い詰めるように男の指の動きが荒くなる。水の音のリズムが速くなるにつれ、膝裏を流れる液体の量が増えていく。
すでに何度もいかされた体は、次の絶頂に簡単に飲み込まれそうになる。
不意に男が指を止めて引き抜いた。
その乱暴な動きだけで軽く達した私は脚の力を失ってベッドに倒れ込んだ。
身体の芯にはまだ熱がくすぶっている。
氷のような声が、荒く呼吸をする私に降った。
「俺が欲しいか?」
ねだってみろと煽るかのごとく、男が私の尻をなでる。
たまらない屈辱が胸を締めつけたが、私が彼の望む反応を見せるまで、彼がとことん私を追い詰めることは、これまでの彼との性交でよく思い知っていた。
「……れて、ください」
体に力が入らなくて、小さな声で言う。
「うしろから、突いてください」
男のくぐもった笑い声が聞こえた。
「うしろ? 淫乱な女だな」
ちがう、そうじゃない、男に顔を見られずにすむからだ。
不意に体が反転させられて、脚を大きく割り開かれる。
どうして?と泣きそうになりながら見上げると、男は冷酷に片方の口端を上げた。
「君をどう抱くかは俺が決める」
最初のコメントを投稿しよう!