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しかし…
石田三成にはある強みがあった。
それは…
石田三成「俺には…殿下がいる。」
どれだけ敵を作ろうとも豊臣秀吉への決して揺るがない忠誠心である。
但し…
大谷吉継「三成、いつか人は死ぬ。
いつまで殿下の庇護に縋りつく?」
石田三成にとっては
唯一無二の親友である大谷吉継は、
石田三成の盲目的な秀吉への忠誠心に対して何度も警鐘を鳴らしていた…。
石田三成「殿下の世が終わるはずない。俺は豊臣の世を守る為なら…」
三成は豊臣の世を守るためなら…
徳川家康を敵に回す事も厭わない…
そんな覚悟すらも懐いていたが…
1度壊れた信頼は元には戻らない。
そして…
ただでさえ四面楚歌の状態だった
三成は西暦1598年09月18日。
石田三成「殿下!」
京都伏見にある伏見城では
石田三成最大の理解者であり
最大の庇護者でもある豊臣秀吉が
最期の時を迎えようとしていた…
淀君「殿下、私と秀頼を
置いて逝かないで下さりませ。」
淀君は秀吉に嫁いだ日から文字通り苦楽を共にしていた正室であり北政所でもある福音の事を蔑ろにし続けていた事もあり福音との仲は極めて悪かった点も手伝い…
豊臣家の中ではこちらも孤立していた
秀吉「皆々様、どうか…2人の事と三成の事をくれぐれもよろしくお願いします。」
寵姫ではあるが高き身分であるが故に孤立していた淀君と忠臣であるものの自尊心が極めて高く孤立していた三成
まだ幼く目に入れても痛くない程
可愛らしい秀頼
3人の事を案じたまま…
豊臣秀吉は黄泉国へと旅立ちました。
それと同時に…
最大の理解者であり庇護者でもある
豊臣秀吉を喪った3人は…
細川忠興「三成…もうそなたを庇護する殿下はおらぬ…覚悟を決める事だな。」
今まで経験した事のない
悪意に晒された日々を過ごしていた。
中でも1番三成を憎んでいたのは…
細川忠興…。
細川藤孝の嫡男で細川ガラシャの夫。
ガラシャへの愛し方は狂愛と呼ぶしか呼び方のない愛し方であるため…ガラシャからは困惑されているものの…
細川忠興「於蝶と珠の心を深く傷つけたそなただけは…許さぬ…ちなみに殿下の事はそなたと同じくらいに…許せぬ…!」
ガラシャとの間に産まれた長女の於蝶の事は父親として何よりも大切に誰よりも大事にしていた事もあり…
石田三成「命があっただけで良かったではないか?それとも坪内と運命を共にさせたら文句なかったか?」
三成の顔を見ただけで怒りがフツフツと沸き上がって来るような状態であるにも関わらず…
細川忠興「…!そなたには血は…涙は流れているのか…?於蝶をもし坪内と運命を共にさせようとしたなら…俺は豊臣家を根絶やしにしていただろうな…!」
売り言葉に買い言葉なのに…
相手から言われるとどこで止めるべきなのか分からなくなるのが口喧嘩…。
石田三成「殿下が亡くなられてすぐ、
そんな言葉を…口に出来るとは…
そなたこそ明智光秀の婿だったのに…命を奪われなかったのは誰のお陰か?」
細川忠興「貴様!」
こうなると2人の口喧嘩を止める事が出来るのはこの人しかいなくなる…
それは…
島左近「それくらいにしましょう。
細川殿、殿は…こんな性格なんで…
一旦火がつくとこうなるんです。」
島左近…徳川家康に過ぎたる者は本多忠勝、では石田三成に過ぎたる者は島左近と言われる程の知恵者で…三成からは絶対的信頼を得てはいる…。
細川忠興は島左近の登場により
その場から去ったものの…
島左近「今のは殿にも非があります。売り言葉に買い言葉では細川殿の短気な性格に火をつける事になると理解しなければなりませぬ…」
三成はそのまましばらく左近からのお叱りを受ける事になった。
雅姫「父上、殿に対して失礼ですわ…その辺りになさいませ…」
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