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パタン、とリビングの扉を閉めると私の中で何が途切れたのが分かった。 もうお互いの関係に限界が来ていることなんて、とっくのとうに気づいていた。だけどそれを受け入れたくなくていつも、私は自分に嘘をついた。 彼の好きな食べ物を食べて、お気に入りの音楽を聴いて。まだ、幸せと錯覚させていた。でも、もう無理だ。 ふと、右手に握りしめているネクタイの存在に気づき洗面所に向かう。 馬鹿だなあ、私って。もう愛情が冷めたならあの人のために働かなくてもいいのに。そこら辺に投げて、早く寝ればいいのに。そう考えても行動には移せず、結局洗濯機に入れた。 「愛してる女性(ひと)がいるなら、ここに戻ってこなくてもいいんだよ。それにもう既にそこで過ごしたことはあるんじゃないの?」 ベットサイドに飾ってある写真の彼に問いかけるが、返事はもちろん返ってこない。薄々気づいていたことだけどもそれがちゃんと事実だと知るのはこんなに辛いことなのか。そんな真理を悟ればあとは乾いた笑い声と拭いきれない涙がこぼれるだけだった。
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