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*** 喫茶店から出て俺達はしばらく、近くの公園を散歩していた。つい最近まで満開になっていた桜の木にはもう青々しい葉が茂っている。 そういえば去年もここと茉央で逢ったけ? そんな記憶が茉央との記憶が沢山よみがえってきた。 「もう夏も近いねえ。夏になったら花火大会一緒に行こうね、また!」 隣を歩く茉央は小指を出しそう告げた。 「……」 「どうしたの?」 「――――待っててくれるのか? 俺が茉央を迎えに行くまで」 「もちろん! いつまでも待ってるわ」 その言葉に聞き、俺はようやく自分の小指を出し約束を交わした。 すると、上機嫌に彼女は笑みを浮かべて声には出さず〝待ってる〟と俺の手を握りしめた。 「じゃあ私からも一つ約束ね?」 「なに?」 「元カノさん――――雅樂さんに、バレないように別れてね」 「そんなの分かってる、言われなくても」 「なら安心して家に帰れるわ」 そう言うと彼女は夕暮れに包まれるかのように家に帰って行った。紅色が街中を赤く染めていく。空も、景色も何もかもを。そんな中を一人歩き、重い足取りで自宅へと向かい始めた。
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