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外に出て、報道陣の前に現れた多留間社長はこう言った。
「現在新聞などで報道されている白いタルマですが、あれは我が社が作ったタルマの新種です。しかしまだ試作段階なので、原種に混ざっていれば選別して捨てていたに過ぎません。それを我が社に潜入したライバル会社の社員が撮影し、新聞社に売ったのです」
苦しい言い訳だった。これではなぜ試作段階の新種が原種に混ざるのか理由が分からない。
社長はそのことを記者達から追求されたが、無視して本社の中に逃げ帰った。
社長室に戻って一息つく。報道陣に白いタルマは新種と説明した手前、これからはそれを前提とした行動を取らざるを得ない。
そこで社長は考えた。病気のタルマを「白タルマ」という名称で販売することにしたのだ。さらに消費者の不安を払拭するために、社長自身が白タルマにかぶりつくCMを流した。また、部下達に命じて「白タルマは健康に良い」という嘘情報をネットに流させた。本当は健康にいいどころか、人体に悪影響を及ぼす可能性さえあるのだが、そんなことを気にしている場合ではなかった。
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