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昼休みが終わり、業務を開始しようとすると みのりが真っ先に蓮の所にやって来た。 「今日の外回り、葛西さんの代わりに ついて行かせてくださいっ。」 キラキラした目をして 蓮に頼み込む。 「早く仕事を覚えたいですし、三浦さんのお役に立ちたいんです。」 意気込んで熱っぽく言う。 周りの女性社員の視線が やたらキツく感じた。 蓮は みのりの顔をまっすぐ見た。 みのりは 顔をピンク色にして蓮の言葉を待つ。 「今日行くのは 前々から手がけてるプロジェクトの関連だから このプロジェクトに関わった事がない小坂には無理だ。 それに、葛西は語学も優れているから このプロジェクトには欠かせない。だから とても助けられている。 小坂は 葛西と同じ程度、もしくはそれ以上に語学スキルがあるのか?」 穏やかではあるが、ハッキリした口調で蓮は話す。 みのりは さっきとは違う意味合いで 顔を赤くしていた。 「……いいえ、葛西さんには とうてい及びません。」 みのりは小さい声で言う。 蓮は黙って深く頷いた。 「仕事は他にも山ほどある。そちらの方をよろしく頼む。」 そう言って 蓮は立ち上がった。 それを見た花菜も無言で同じように立ち上がる。 そして 小さくなっているみのりを残し、二人は 肩を並べて部署を出たのだった。
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