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最近の若いもんは
東京に引っ越すことになった。
息子の誠二の転勤が決まったとかで、ここ最近の美香さんは引越しの準備に追われている。嫁に任せきりの誠二に腹が立った。だから私は美香さんに「何か手伝えることはないかね?」と尋ねた。が、「お義母さんは心配しなくて大丈夫ですから」と言われてしまった。淡々とだ。最近の若い人はどこか感情が希薄だ。
孫の凜も、何もしない。小学生とはいえ、少しは手伝うべきだろう。これだから最近の若いもんは。リビングでクッションにうつ伏せになり、ゲーム機をピコピコしている凜。たまらず私は叱った。もちろん優しくだ。最近の若いもんは打たれ弱い。何かあれば、ハラスメントやらマウントとかいう言葉で弱者を演じ、立場を逆転させる。面倒きわまりない。
「これ、凜や。お母さんの手伝いはしないのかい?」
「んー。あとでー」
はあ。将来が不安だ。
「そういえば、凜。お友だちにお別れの挨拶はしたのかい?」
「別にー。SNSやビデオ通話で話できるしー。そっちのが気楽~」
ゲームをピコピコしながら、凜は話す。こちらとは目を合わせもしない。やれやれ、これだから最近の若いもんは。直に会うから意味があることもあるというのに。
「そんなんじゃあ、友達、いなくなるかもしれないよ?」
「大丈夫でしょ」
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