5人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして、悟美と茜は玄関を出て、門扉へと歩いていった。
「昨日、やっぱり遅くなった?」
「それがさ〜。うちの親戚たちが、お酒ばっかり飲んでたから、意外とみんな早くバーベキュー終わってさ。予定より、早かったよ。」
「え〜。茜、何時に寝た?」
「1時ぐらい。」
「なかなか遅いじゃん。」
そんな会話をしながら、二人は路地を歩いていく。
それから駅で列車に乗り、三駅行った街へと降りた。
「ねえねえ。今日の映画、本っ当に楽しみだよね! 私、凄く見たかったから!」
茜が、はしゃぐように言う。
「確かに、CMも凄いもんね。」
悟美も嬉しそうに返答した。
「悟美。ドラマの時から見てたの? 月9でやってた、『前世への目覚め』。」
再び、茜が聞き返す。
「見てたよ。私は、録画しておいて、後で時間ある時に、まとめて見てたけど。」
「私なんか、毎回泣いてたから。それでドラマ最終回になって終わったでしょ。また見たいって思ってたら、今回映画版が出るって聞いて、マジ楽しみで〜。」
「だよね〜。」
「だって今回の映画版は、主人公が貴志じゃなくて、スピンオフだからドラマのそれ以前の話で〜。貴志の妹がメインなんだよ〜。めっちゃ気になるよね〜。」
「気になる〜。どんな内容なんだろうね〜。」
そんな会話をしながら、駅を出て街へと歩いていく二人。
「今日、映画見ながら、ポップコーン食べようよ。」
「あ、それはマストだね。」
「あとさ、知ってる? ほら『前世への目覚め』ってさ。ドラマで叶恵が経営するタコ焼き屋。」
「あ、もちろん知ってるよ。私、実際にあのタコ焼き、食べてみたいって思ってたから。」
「私もだよ〜。そんなファン層の期待から、今回の上映期間だけ限定で、4個入りのミニタコ焼きを販売してるらしいよ。それも食べようよ。」
「マジ〜! それ絶対、食べないと損だよね〜。」
二人の気分は絶好調で、テンションの上がった会話は尽きる事がない。
街中に来た二人の周りには、車が行き交い、歩く人々も多くなっていた。
横断歩道を辺り、ビル街の通りを更に歩いていく二人。
映画館へ向かって人通りの行き交う歩道を、立ち並ぶビル街に沿って進む悟美と茜。
「それでさ〜・・。」
笑いながら、悟美が話題を投げかけようとした時、あっと驚いた顔で茜が立ち止まった。
「あっ・・!」
疑問に思った悟美が、茜のその視線の先を振り返って見てみると、ビル街の一角の大きなガラス張りの飲食店がある。
悟美が、そのガラス張りの店内をよく見てみると、中に見えたのは、あの同級生の村上の姿であった。
最初のコメントを投稿しよう!