飛鼠と歌姫と私の世界

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 朝。目を覚ましてスマホを開く。  SNSが師匠だらけだ。  汚い言葉で溢れていた。  歌を作って歌う師匠はもっときらきらしていた。  どうやら彼氏に浮気されたらしい。  それで問い詰めたら二股だったらしい。  さらには振られたらしい。 「なら歌ったらいいでしょ」  返信でそう送っても良かった。  私のもとにメッセージが送られていたことに気づく。 『彼氏に振られた。しんどい』  私が起きる二時間前のことだった。  今は投稿が止んでいる。  あの人は、『悪夢バット』さんは寝ているのだろう。  私は、師匠は居場所ではないと思った。  歌わないならいらない。曲を使わないならいらない。  言葉にしか頼らないなら。  分かる人にしか分からない曲こそ、『悪夢バット』さんなのに。
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