飛鼠と歌姫と私の世界

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 何度も目にした師匠の言葉。 『私と会いませんか?』  どう答えるべきか、私は分からなくなっていた。  そんなある日。 『変なこと言ってごめんなさい』  というメッセージが来て、師匠はSNSにあまり浮上しなくなった。  私の曲には評価を付けてくれる。  師匠はあれからショートに三十秒ほどの曲を流すだけで。  私はどこかで間違えたのだ。  そう自分の行動を嫌になって。  師匠を追い詰めていたのは私かもしれないと思っていた。  だから驚いたのだ。  師匠のファンの一人からだった。 『悪夢バットさんはももぱちさんを気に入っていて。妹ができたって言ってました』  そして。 『また歌ってみたを送り合うところ見たいです』  私にも師匠にもファンがいて。  曲を作って歌い合う私と師匠の関係はSNSらしい関係で。  でも決してあの狭い教室に劣っているわけでもなくて。  師匠にとって大事な関係の一つだった。  私がすべきことは、伝えることだ。  そして歌うことだ。  師匠は歌姫で、でも蝙蝠だと言っていた。  
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