飛鼠と歌姫と私の世界

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 師匠はSNSで見ないようになった。  現実で上手くいっている、そう楽観的になれるほど私は鈍感ではなかった。 「仲良くなりたいが、届かない」  相変わらずボカロを投稿していた。  でも師匠を失った私は、椅子に座って床に足を着けられないような子供みたいに思えた。  会いたいって、仲良くしたいって即答していたら。  私は遅かった。  ……遅かったのだろうか?  師匠は本当に私から離れたのだろうか。  違う、そうじゃない。  いや、そうかもしれないけど。  それでもあの人がSOSを出してる気がするんだ。  なら、私は。  私と師匠は同じ。  どうせ、歌の力を信じずにはいられないのだ。
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