飛鼠と歌姫と私の世界

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 教室の私はよく寝ている。  私は夜行性なのだ。  先生も授業中に寝ることを注意しなくなった。  代わりに内申点を減点するスタイルに変えたらしい。  そういうものだ仕方ないとも、卑怯とも思う。  羽を休ませるように丸まって眠る、しかも先生たちに逆らって。 「私の方が蝙蝠みたいだ」  私がどう思っているか、どこを居場所にしているのか先生は分かっていない。  洞窟や木の陰、建物の屋根に隠れるように、昼間はじっとしている。  それに、私の曲は聴く人が聴かなければ分からない。まるで超音波みたいだ。  血を吸うなどと恐れられて獰猛に思われるのも、不良少女が実際は暴力など一切しないことに似ている。  不良の私からすれば、放っておいてくれと思う。  基本は無害なのだ。  私は夜行性、SNSの住人。  師匠より私の方が蝙蝠らしい。
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