飛鼠と歌姫と私の世界

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 私は家に帰るとスマホを開いて師匠の曲を聴く。  また歌ってみたを投稿するのもいいけど。  私が最も再生されたボカロ曲が二千再生に対して、師匠は三万二千再生と大台に乗っている。  もっと頑張らなきゃいけない。 「師匠はメロも歌詞もいい。伝えたいことから作る、か。私なら放っておいて生きていけるから、私の居場所はあなたの知らないところ、みたいな感じかな。いいアイデアかも」  ノートにメモしていく。  パソコンを立ち上げるのはまた今度にしよう。  もう少しアイデアを温めた方がいいのだ。 「それにしても師匠、甘いラブソング増えた。伝えたいことか。師匠モテるだろうな、格好いいしキラキラしてるしファンも多いし。恋、してるのか」  ベッドに寝て天井を見上げる。  師匠は大人っぽい。  ほとんどの大人が私なんか諦めている。  でも師匠は私を見てくれる。  もっと仲良くしたいのだ。  会いたいわけじゃないけど。
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