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輝く月
「やっぱり、移住先を決めるのには、なかなか時間がかかるな……今日はもう寝るか」
音を上げたのはアユムだった。
そうね、とシズカも頷いて、机の上のパンフレットをまとめると、元々あった場所にしまった。
二人はそのまま、歯を磨いたり、明日の服を確認したりと、それぞれ寝る支度を始めた。
「ああ、窓も閉めなくちゃ」
シズカは立ち上がって窓の方に歩いて行った。そして、窓を閉める前にふと外を見て、声を漏らした。
「あ、見て、月」
アユムがそちらに目をやると、シズカが指し示す先には、煌々と輝く半月があった。
彼女の隣に並んでその光をじっと見上げながら、彼はポツリと呟いた。
「……やっぱり、ここはいい星だな」
「……ねえ、今度、地球の物件の資料も取り寄せましょうかしら」
「うん、そうしよう。それがいい」
彼らはそうして、体が冷えかけるまで、二人で窓辺に佇んでいた。
自分たちが今まさに立っている水の惑星——奇跡の星に思いを馳せながら。
その間、シズカはずっと、自分のお腹を優しく撫でていた。
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