用語解説

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【人ならざるモノ】 〈物の怪〉  人間及び妖怪にとっての害悪。目についたものを殺戮し破壊する災害。怨恨や呪詛の集合体であるため、迂闊な接触はできない。  人間側は、妖雛(ようすう)を兵として取り立てた人妖兵(じんようへい)、人外を相手にすることを目的に訓練を積んだ守遣兵(しゅけんへい)を主戦力として、物の怪の討伐を行う。  物の怪には「規模」という人間視点の基準が、大中小と設けられている。中、小規模の物の怪であれば、守遣兵のみの部隊でも対処可能。大を超えて特に強大なモノは極大と称され、名称も付けられている。 〈成り損ない〉  物の怪になる前の個体。弱く、姿や名前を持ち合わせない妖怪が、物の怪の気に中てられてなり果ててしまう。また、強い府の感情を抱いた妖怪が、物の怪として堕ちることもある。  近辺に出現した物の怪の気に中てられた場合、成り損ないが人や妖怪を殺すことで、物の怪の力が増幅されてしまうため、早急な排除が必要となる。 〈妖怪〉  主に幽世(かくりよ)に生息している存在。一部は人間によって名称を付けられているが、形容しがたい姿かたち、生態のモノもいる。怪異などの現象を示すこともある。  共通認識として弱肉強食があり、強者が弱者を蹂躙することはよくある。同時に下剋上も起こり得る。  人間の動作を真似することが多く、現世で賑わっている場所と同じ所でお祭り騒ぎをしている。金銭などのやり取りは一部地域でならあるが、物々交換もしくは強奪が普通。  基本的に人間へ牙をむくことは無いが、人間側とは全く違う理に基づいて動くため、何らかの事件事故に巻き込まれることがある。また、目的のために人間や他の妖怪などを害することもある。知識や対策無しに近付いてはいけない相手。  人間側と取引をしたり、協力関係を結んだりしている妖怪も存在する。色護衆(しきごしゅう)と取引をする妖怪の多くは個体名を付けられ、納品物や情報を重宝されつつ、動向を警戒されている。 〈妖獣〉  妖怪の中でも、特に獣から変じたモノを言う。妖怪より情に篤く、人間との距離も近い。また、妖怪と違って群れを作り、団体で一つの場所に留まっていることが多い。  人間との関係性は持ちつ持たれつ、ちょっかいをかけたり仕返しをしたりといった間柄。殺伐とした空気は無いが、無礼には相応の礼を返す。  情が濃いことから、物の怪に変じやすいという弱点がある。 〈妖雛(ようすう)〉  半分人間、半分妖怪の存在。姿は人間だが、内面や能力は妖怪寄り。人間より頑丈な体、高い身体能力、怪力を持ち、妙術と呼ばれる高度な呪術を扱える。弱点も妖怪寄りで、お祓いや結界などに弱い。  生まれ落ちてから六歳までの間に、何らかの形で幽世に入り、妖怪と共に歳月を過ごして戻って来た子どもがなる。七歳になる前に現世へ戻ることができなければ、そのまま妖怪として生きることとなる。  幽世で過ごした時間が長ければ長いほど妖怪側に傾く。妖怪としての面は、共に過ごした妖怪の性質に影響を受けるため、中には非戦闘向きの性質を持つ妖雛もいる。 〈特使〉  妖雛の中でも極めて強く、妖怪側に寄った特異な存在とされているが、ほとんど謎の存在。人間と物の怪との争いにおいて、人間側が劣勢になると現れるとされている。常世(とこよ)、幽世を司る龍神との関係性もあるようだが、特使の名称にそれぞれ「常日(とこひ)」「幽月(かくりつき)」がついていること以外の詳細は不明。  特使は二人おり、互角の力量から、相手がそれと分かり合えるようになっているらしい。また、常日の名を冠する特使に関しては、常世に行って戻って来るという稀な性質から、そういった背景の持ち主であれば確定とさえ言われる。その常日の特使が同等と察した存在が、幽月の特使とこちらも確定される。  あまりの情報の少なさから、不都合な事実が隠されていると目している者もいる。  ・〈常日(とこひ)の特使〉…境田芳親。六年間を常世で過ごしたという、神代以来の異色な経歴を持つ。特使としての勘のようなものは働いているようだが、本人にも詳細は分かっていない。  ・〈幽月(かくりつき)の特使〉…花居志乃。幽世で六年を過ごしたのち、現世へ返された。特使に関する知識は全く無く、それらしい勘も働いているかどうかは不明。 〈三龍神(さんりゅうじん)〉  現世(うつしよ)、幽世、常世を司っていると伝わる三柱の龍神。  ・常日神(とこひのかみ):常世を司る龍神。金の鱗を持つ。女性として描かれることが多い。  ・幽月神(かくりつきのかみ):幽世を司る龍神。銀の鱗を持つ。男性としても女性としても多く描かれる。  ・現龍神(うつしたつのかみ):現世を司る龍神。青の鱗を持つ。男性として描かれることが多い。 〈怨霊〉  強力な呪詛によって殺害され、魂を汚された人間が成り果ててしまう姿。手当たり次第に周囲を破壊し、祓われない限り消滅しない。  対処方法は呪術による祓魔か調伏、強力な攻撃に限られる。前者であれば、魂の持ち主の自我を一時的に取り戻し、弔うことが可能。後者はすぐさま霊魂を消滅させることができるが、何らかの事情が無い以外では忌まれる対処法。 〈妖魂器(ようこんき)〉  妖力を宿した道具の総称。代表格は妖刀などの武器。元々あった道具が幽世の空気に中てられたことで変容したり、妖怪が制作した際に影響を受けたりといった過程で生まれる。妖怪の作った道具が必ず妖魂器となるわけではない。付喪神(つくもがみ)とは似て非なるモノ。  幽世で緩やかに時を経る、妖怪や妖雛などに所持されるなどの過程を挟むと、力を増したり意思を持ったりするなどの変化も見られるようになる。人間が扱うのは困難だが、力の相性や波長によっては嚙み合うこともある。いかなる者でも、持ち主は必ず妖魂器を支配下に置かなければならず、できなければ蝕まれて死に至らしめられる。
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