1人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから、私は頑張った。休憩時間も後輩君に勉強を教わった。アルバイト続けるためだけに勉強を頑張った。どんなにバイトで疲れていても勉強を頑張った。
それでも、心の奥底では無駄なんじゃないかという声が聞こえた。たった数週間頑張ったってすぐには結果が出ないことも分かっていた。そんなことは、現役の頃に身をもって知ったことだった。それでも、諦めたくなかった。後輩君と話せなくなることが嫌だった。それだけは、絶対に嫌だった。終わったはずでも嫌だった。
ついに迎えた模試の日。どの科目もすらすらと回答が出来た。こんなに簡単に回答欄が埋まっていくのは、高校受験の模試以来のことだった。
家に帰って配られた回答をもとに自己採点をしていく。現役のときには、一度も取れなかったような点数であることを知った。
それでも、自信がなかった。いくら回答がすらすらできたとしても、周りも同じだったら意味がないことがわかっていた。私だけが分かっていることなんてありえないことだった。
それから二週間。私は、気が気じゃなかった。あの結果がどうなっているのか気になっていた。
結果は、今まで一番良かった。去年落ちあの大学は、Aと出ていた。今まで出たことがない結果だった。両親はとても喜んでくれた。それなのに、全く嬉しくなかった。
そこで、後輩君の通う大学に行きたいと両親に話した。けれど、両親は、それは無理だと言った。今から科目を増やすなんて無理だと言われた。それでも、私の覚悟は変わらない。
あついあつい夏が始まる。
最初のコメントを投稿しよう!