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春が終わってしまった。久しぶりに外に出たら、本当に春が終わっていた。つい最近までは、ピンク色だった桜の木も鮮やかな緑色に変わっていた。まるで夏のような眩しい日差しが、何もない私を突き刺す。
春が終わってしまった。何もないまま終わってしまった。
もう初夏を迎えて初めて気がついた。
春は終わった。始まる前に終わってしまった。春は短くてあっという間に過ぎて行ってしまった。冬の頃は、したいこといっぱいあったのに何もできないまま終わってしまった。春へのあこがれが捨てられないまま終わってしまった。春への未練だけが取り残されてしまった。
この桜の木がまだ緑に変わる前、私が来ていた服を着ている子がいる。年は、せいぜい三つしか違わないのにとてもキラキラと輝いて見える。春の日差しをいっぱいに浴びた新緑の葉のように輝いていた。
この子たちには、私みたいになってほしくない。私とは、違って春の時代を楽しんでいてほしい。
私の分まで青い春を楽しんでほしいと、名前の知らぬ後輩に思いを馳せた。
私の春は終わってしまった。それは、季節だけではない。そして、この春が再び訪れることもないのだろう。もし、進学できていれば春が続いていたのかな。こんなこと、冬だった時は知らなかった。
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