357人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「……こんなに細くなって。まるで、折れてしまいそうだ」
司狼の言葉にはたくさんの後悔が滲んでいる。ごめん、凪、ごめんと繰り返す。花番を狂い咲きするほど弱らせるのは、放置の証だ。恋人を飢え死にさせるのと同じで、誰もが非難する行為だった。
「でも、僕は今、司狼と一緒にいる。……すごく嬉しい」
「……凪」
僕の花食み、僕の対花。大事な大事な司狼がここにいる。この歓びをどうやって伝えたらいいだろう。
「俺のものなら、全部凪にあげる。凪が望むだけ、何もかも」
「ちょうだい。司狼を全部」
司狼は僕がまだ身につけていた服を全て脱がせた。痩せ細った僕の体を見て、まるで壊れ物を扱うようにそっと愛撫する。肌に口づけ、胸の小さな粒を甘く噛む。
「あっ……あ」
「凪は全部甘い」
司狼の指が触れた場所は、すぐに熱を帯びた。僕はそんな自分が恥ずかしい。
「どうしたの、凪」
「司狼の触れたところは、ど、どこも熱くて、気持ちいいから」
恥ずかしくてやだ、と言うと涙をぺろりと舐められた。
「……何て可愛いんだろう」
司狼がうっとりした顔で囁くと、僕の体はますます熱くなり、次第に甘い香りを放つ。その香りに誘われるように、司狼は僕の口中に舌を差し入れて吸い上げた。
頭の中は興奮で蕩け、何も考えられなくなっていく。
司狼に触れられた時から、僕の先端はとろとろと雫をこぼしている。ぬめりを帯びた雄茎に大きな手で触れられると、切なさに体が跳ねる。
「凪、感じてるんだね」
「司狼……、早く」
「うん、わかった」
僕から体を離し、司狼は自分の服を全て脱いだ
均整の取れた体は筋肉が程よく付いてとても綺麗だけれど、少し痩せた気がする。僕の視線に気づいた司狼が安心させるように笑う。
「俺たちは対花だからね」
一緒にいられなければ、互いに心と体が悲鳴を上げる。花生みがつらい時は、花食みだってつらいのだ。抱き合った互いの体はまるで火がついたように熱かった。
司狼はベッドの脇にあった一本のボトルを取った。それは花体質の者用の潤滑剤だ。蜂蜜色の液体が下腹部にたっぷりとかけられ、大きな手で塗り込まれた。
「んっ! あっ……」
「凪はこれを塗るといつも、気持ちよさそう」
「だって……あッあ!」
何度か雄を擦られただけで、すぐに達してしまいそうになる。司狼は体への負担が大きいからと簡単に出させてくれない。
たっぷりと潤滑剤を塗った指が後孔に触れると、そこはもう柔らかくほころんでいた。
「ああ、もう……。欲しがってくれてるんだね」
そうだ、自分の花食みがすぐ側にいたら、体は勝手に受け入れたいと願う。僕はもう、司狼が欲しくてたまらなかった。
ゆっくりと指が入り、僕の中は吸い付くようにひくひくと動いた。
最初のコメントを投稿しよう!