4.対花のためだけに ※

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「……こんなに細くなって。まるで、折れてしまいそうだ」  司狼の言葉にはたくさんの後悔が滲んでいる。ごめん、凪、ごめんと繰り返す。花番を狂い咲きするほど弱らせるのは、放置の証だ。恋人を飢え死にさせるのと同じで、誰もが非難する行為だった。 「でも、僕は今、司狼と一緒にいる。……すごく嬉しい」 「……凪」  僕の花食み、僕の対花。大事な大事な司狼がここにいる。この歓びをどうやって伝えたらいいだろう。 「俺のものなら、全部凪にあげる。凪が望むだけ、何もかも」 「ちょうだい。司狼を全部」  司狼は僕がまだ身につけていた服を全て脱がせた。痩せ細った僕の体を見て、まるで壊れ物を扱うようにそっと愛撫する。肌に口づけ、胸の小さな粒を甘く噛む。 「あっ……あ」 「凪は全部甘い」  司狼の指が触れた場所は、すぐに熱を帯びた。僕はそんな自分が恥ずかしい。 「どうしたの、凪」 「司狼の触れたところは、ど、どこも熱くて、気持ちいいから」  恥ずかしくてやだ、と言うと涙をぺろりと舐められた。 「……何て可愛いんだろう」  司狼がうっとりした顔で囁くと、僕の体はますます熱くなり、次第に甘い香りを放つ。その香りに誘われるように、司狼は僕の口中に舌を差し入れて吸い上げた。  頭の中は興奮で蕩け、何も考えられなくなっていく。  司狼に触れられた時から、僕の先端はとろとろと雫をこぼしている。ぬめりを帯びた雄茎に大きな手で触れられると、切なさに体が跳ねる。 「凪、感じてるんだね」 「司狼……、早く」 「うん、わかった」  僕から体を離し、司狼は自分の服を全て脱いだ  均整の取れた体は筋肉が程よく付いてとても綺麗だけれど、少し痩せた気がする。僕の視線に気づいた司狼が安心させるように笑う。 「俺たちは対花だからね」  一緒にいられなければ、互いに心と体が悲鳴を上げる。花生みがつらい時は、花食みだってつらいのだ。抱き合った互いの体はまるで火がついたように熱かった。  司狼はベッドの脇にあった一本のボトルを取った。それは花体質の者用の潤滑剤だ。蜂蜜色の液体が下腹部にたっぷりとかけられ、大きな手で塗り込まれた。 「んっ! あっ……」 「凪はこれを塗るといつも、気持ちよさそう」 「だって……あッあ!」  何度か雄を擦られただけで、すぐに達してしまいそうになる。司狼は体への負担が大きいからと簡単に出させてくれない。  たっぷりと潤滑剤を塗った指が後孔に触れると、そこはもう柔らかくほころんでいた。 「ああ、もう……。欲しがってくれてるんだね」  そうだ、自分の花食みがすぐ側にいたら、体は勝手に受け入れたいと願う。僕はもう、司狼が欲しくてたまらなかった。  ゆっくりと指が入り、僕の中は吸い付くようにひくひくと動いた。
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