死の歌声

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死の歌声

 シンカーが亡くなった次の日、わたしは真夜中に行動を起こした。  わたしが近づくと、怪物は直ぐに目を覚ました。  目をうっすらと開け、起き上がった。 「起こしちゃってごめんなさいね」  わたしは戦闘などはできない。わたしは、シンカーが残してくれた物で戦うだけだ。 「あなた、自分がどのくらい音痴だか分かっていないでしょ。聴かせてあげるわ」  わたしは録音機を再生した。この録音機には、シンカーが録音した怪物の歌声が入っている。  怪物は怪物自身の歌声をいつも聴いているので耐性はあるかもしれないが、やってみる価値はあると思った。だって、録音して聞いた自分の声って別人の声みたいに聞こえるでしょ。頭の中から響く声と、他の場所から発せられた声は別物だ。  録音機から死の歌声が発せられる。わたしの耳から血が噴き出るのを感じた。  わたしが倒れると同時に、怪物も目を見開いて倒れるのが見えた。  やった。わたしたちは無駄死にではなかった。  わたしたちが犠牲になって他のみんなが助かるなら本望だ。  どうせ、現世ではわたしたちは結ばれなかった運命。せめて、あの世では結ばれたい。  (了)
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