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彼女が出来たのは事実だが、実は、執筆活動時間に関しては十分確保できている。
私は今まで様々なコンテストに連敗ながらも、書きたい意欲と読者の反応だけで今までやってきた。
だが最近、読者数はさほど変わりなくても、イマイチ反応が悪くなってきたと感じていた。
事実、私は思い描くような作品が書けなくなっていた。
ハラハラドキドキ、背後から忍び寄る恐怖と突然降ってくる災い。
次のページを早くめくりたい、いや、めくりたくないと思わせるミステリアスな展開。
最近の自分の作品に、どうもそういったものが欠けていった気がする。
もしかして、これが「環境が変われば作風が変わる」というものなのか。
おなじWeb小説サイトで活躍する作家さんのエッセイで、そのようなことを読んだ覚えがある。
ひとまず「ミステリーな事情」が完結したので、新しい作品のプロットを起こしてみる。
しかし思いつくのは、ほのぼのとしたヒューマンドラマや甘酸っぱい学園青春物語。
……だめだ、これは私のイメージとかけ離れている。
だけどこれを書きたい、書いてみたい。
私の創作意欲が刺激され、脳内では様々なきゅんとしたシーンが思い描かれていく。
いやいやいや、私はあくまで「ミステリー作家」。
私の名前でこんな可愛らしい作品を世に出すのは、非常に抵抗がある。
しかも私はほぼ本名で、身内や同級生などに身バレしている。
こんな小説を読まれたと知った時、どんな顔をして次に会えるというのだ…。
では、別のアカウントを作ってそちらで投稿するか?
いや、このWeb小説サイトでは複数垢を禁止している。
……では、引っ越すか?
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