第1話 プロローグ

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 そう聞くとまだ数年の余裕がある気がするが、それは勘違いでしかない。  なにせ、その冒険者志望はみんな貴族か大店の子だ。装備もそれ相応のものが手に入るだろうし、騎士から指導を受けることもできる。  噂によると慣れるまで騎士とパーティーを組むこともでき、いわゆるパワーレベリングができるらしい。  そんな彼らと違って、生まれが平民の俺は装備を売ってもらえず、指導は当然受けられない。  まぁ、冒険者になればギルドから装備を借りることができるし、冒険者になれば平民でも武器が買える。  とはいえ、一線で活躍する冒険者は皆ダンジョンでドロップした装備を使っているらしい。やっぱ泥品(ドロップ)こそ至高ってことか。  ダンジョンに挑むまでの安全に関しては一切保証できないけど、この際仕方ない。  唯一の救いは冒険者になる資格に家族や大店であることって明記されていないことだが、いつ変わるか分かったもんじゃない。  現状、冒険者になるために必要な資格はただ一つ。レベル10以上であること。年齢、性別その他諸々は問われていない。 「絶対に有名な冒険者……いや、冒険譚に出てくるような英雄になってやる!」  そう決めると、俺は石ころを鞄に突っ込み森の入り口へ向かった。
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