16歳

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 9月中旬から音楽の授業でも合唱祭の練習をする様になった。  ピアノの前には伴奏のかずみんが座り、先生はホワイトボードの前に置かれたパイプ椅子に座って黙って私たちの練習の様子を見ていた。 「基本的に私は口出ししませんから」  そう言っていた先生が私の方に向かって歩いて来た。  そして私は 「伊藤さんはソプラノには向いてないから、アルトに行くべきだと思う」  みんなの前で、そう言われた。  見慣れたはずの先生の無表情にカァっと体温が上がる。  何か私じゃダメだよ、失格だよって言われた様な気がした。
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