16歳

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『では、そのまま次は校歌を歌います。できるだけ早く覚えて下さい』  その場ダッシュの後、間髪入れずに先生はピアノを弾き始めた。 『繰り返し弾きます。真似して歌って下さい』  そう言って先生は歌い出した。  驚く程の上手さに再び全員が凍りついた。  ワンフレーズ終えた先生がピアノに合わせて掛け声をかける。 『さん、にぃ、さん、ハイ』  同じメロディーで今度は私たちが歌い出す。  ミスタッチが一つもない…ピアノも完璧だ。よっぽどピアノが好きなんだろうな。  私たちが歌ってる時、先生の口元がうっすらと笑っている様に見えた。  目は相変わらず"死んだ魚"みたいだったけれど…。  この日からクラスのみんなが仲良くなった。  私は先生のおかげだと思ってる。
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