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楓ちゃんの隣が私で 佐藤くんの隣が東條くんってのがお決まりで いつも 私の隣に座ろうとする 東條くんのことを 佐藤くんが止めるのがいつもの流れだ。 決して 口には出さないけれど こういう学生ぽいやり取りが 嫌いではなくむしろ好きだったりする。 私の知らない学生時代の 佐藤くんを見ているようでなんだか嬉しいから…… * 「大変申し訳ございません!!」 「あの、私は大丈夫ですから頭あげてください」 お手洗いからの帰りに 従業員さんと ぶつかってしまった私は 思いっきりコップに 入っていたお冷がかかりびしょ濡れになってしまった。 「どうした?」 「あ、佐藤くん」 「……お前、なんで濡れてるんだよ」 「えっと、手を洗おうとしたら勢いよく水が出ちゃってそれでなの!ってことで気にしないでくださいね」 いまだに 申し訳なさそうな表情を 浮かべる従業員さんを 目配せをして私たちはその場を後にした。 .
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