303人が本棚に入れています
本棚に追加
「……東條、いい加減離して仕事しろ」
自分のデスクへと
向かったはずの佐藤くんが
なかなか仕事を
始めようとしない東條くんを迎えにやってきた。
「えー、もっと、美雨ちゃんを抱きしめてたいから代わりに俺の仕事もやってて」
私のことを
抱きしめたまま
私の頬に自分の頬を
くっつけ頬ずりするように甘えてくる。
「ちょっ、東條くん!!」
「……アホか。さっさと戻って仕事するぞ」
強制的に
私から離された東條さんは
文句を言いながら佐藤くんに
引っ張られ自分のデスクへと連れて行かれた。
「佐藤は東條の世話係りね」
「あははは、たしかに。東條くんって、佐藤くんの言うことは聞くもんね」
楽しい
朝の時間は終わり
始業のチャイムが鳴り
皆、一斉に仕事へと取り掛かる。
私の席の対角線上に
佐藤くんのデスクがあるから
真剣な眼差しで仕事をこなす彼を
ここからこっそりと見ることが密かな私の楽しみだったりする。
.
最初のコメントを投稿しよう!