二日酔いの朝は溺愛の始まり

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二日酔いの朝は溺愛の始まり

 あぁー、頭いたぁ。  完全に二日酔いだ。  昨夜の新人歓迎会で、幹事をしていた私は飲み過ぎてしまった。  小柄で童顔な私だけど、『(くれない)さんって顔に似合わず、意外とお酒強いんだ』ってビックリされるのが、密かな自慢だったのに。  酔いつぶれてしまった翌日の重い(まぶた)は、なかなか開けられず、ズキズキする頭と、渇いた(のど)に不快感を覚える。    今、何時?  今日は土曜だし、まだ寝とこ。  スマホ……。  仕事が休みの今日は、時間を気にせずゆっくり寝られる。    とりあえず、今の時間を確認したくて、就寝(しゅうしん)時のスマートフォンの定位置である、枕の右横を手探りした。  あれ……? スマホない……。  そういえば、昨日どうやって寝たんだっけ。  起き上がって探せば、すぐに見つかるかもしれないのに、まだ眠たい身体は、目を開けるのさえ億劫(おっくう)のようだ。  私は目を閉じたまま、ほぼうつぶせになるくらい右に寝返りを打ち、左腕を伸ばしてスマートフォンを探す。 「うーん……」  伸ばした腕に身体が自然と反応し、ベッドの中で大きく伸びをした。       ボンヤリと昨日の出来事を思い返すがベッドに入った記憶はなく、どうやって帰ったのかさえ覚えがなかった。
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