75人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
笑顔のままで手を洗いながら、鏡でメイクが崩れていないかササっとチェックする。
……うん、メイク崩れは大丈夫そう。
丸くて大きい目に、高くはないけど小さめの鼻。
少しぷっくりとした唇はチャームポイントだと思ってる。
でも、完全に童顔だ。
背が低いのも相まって、すっぴんだと小学生みたいに見える。
もういい年なんだから、女性として大人っぽくありたい。
だけど頑張って濃いメイクをしても、『子どもが背伸びしてる』みたいな感じになって似合わないのが悩み。
メイクも研究して、ちょっと大人顔を目指しているんだ。
背中まで伸ばした髪は、ゆるいカールをつけたピンク系のダークブラウン色で、低めのポニーテールにまとめている。
努力の甲斐あって、最近は子どもに間違えられることは減った。
「お掃除中にすみませんでした。 ありがとうございます」
せっかくきれいに拭かれた洗面台を、濡らさないように気をつけて、清掃員さんへ再び笑顔を向けた後、私は所属する部署へと急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!