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配属されてすぐは、失敗も多かったけど、4年もたてば任される仕事も増え、お得意様とも信頼関係が築けてきたと言える。
それに、スーパーへ買い物に来ている消費者が、ウチの商品を手に取って買っている姿を見ると、すごくやりがいを感じて嬉しいんだよね。
「よしっ! 今日も頑張ろっと」
小さく気合を入れながら、ICカードをピッと鳴らして、出勤した時間を管理システムに打刻した。
「おっ、さすが朝から熱血だな、紅」
後ろから大きな声で呼びかけられて、笑顔で振り返る。
「豊崎グループ長。 おはようございます」
声をかけてきたのは、私の直属の上司である豊崎グループ長だ。
天然パーマなのか、クルンと巻いたちょっとアフロっぽい髪型が特徴の、体格がいい男性で、とにかく声が大きい。
豊崎グループ長は、内緒話とかできないタイプだと思う。
「おはよう。その調子で、今日から来る新人君の教育もよろしくな。
紅に任せとけば、どんな新人でも大丈夫だな。期待してるぞ」
半袖シャツの腕を組んで、満足そうに豊崎グループ長は頷いている。
『どんな新人でも』って……一体どんな後輩が来るの?
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