初めての新人指導は驚きの連続

7/22

75人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
 私の仕事は、始業前のメールチェックから始まる。  今日のアポイントや会議の時間を確認して、メールの返信をしていると、豊崎(とよさき)グループ長が、いつもながらの大きな声で話しかけた。 「(くれない)、今日からリテールに来た白河(しらかわ)だ」  横幅が大きいグループ長の後ろに、背の高い男の子が立っている。 「白河、入社して4年目の(くれない)だ。  教育係だから、何でもわからないことは……。  (くれない)に聞いて?」  出たっ、グループ長のオヤジギャグ。  ウケることを期待しているのか、両手の人差し指を私に向けて、ニカっと笑っている豊崎グループ長に、私も新人の子も固まってしまった。    ……はっ! いけない。  仮にも上司なんだから、新人さんの手前、こういう場面では豊崎グループ長を立てなきゃ。 「や、やだなぁ。豊崎グループ長、上手い事言うんですから」  引きつった笑いを浮かべた私のお世辞を、言葉通りに受け取った豊崎グループ長は機嫌よく笑って、自分のデスクへと戻っていった。    気を取り直して新人さんへ向き直る。 「(くれない) 桃花(ももか)です。よろしくお願いします」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加