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部署によって、いろいろと違うことも多くて、いっぺんに覚えるのは大変だ。
私も新人時代は苦労したのを覚えている。
「大丈夫です。覚えるのは得意なので。
それに、紅先輩が教えてくれたことは、絶対に忘れません」
サラリと黒髪を揺らして強く頷き、自信を持っているように白河君は言い切った。
そしてペットボトルのお茶を飲む私を、さっきから『じぃー』って音がしそうなくらい、長い前髪の奥から見つめている。
こんなに見られてると、ちょっと飲みにくいんだけどな……。
「一人で仕事する時になって、困らない?
営業は外に出ることも多いし、もし忘れちゃったとしてもすぐに聞けなかったりするから、そんな時にメモしてたら役立つよ」
私はお茶にキャップをしながら、もう一度メモすることを勧めてみた。
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