二日酔いの朝は溺愛の始まり

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 爽やかな短髪がよく似合う整った小顔に、大きな黒縁メガネをかけて、少しタレ目気味の瞳をキラキラと輝かせている。  通った高い鼻筋と、キュッと結ばれた口元は上品だ。  メイクしているみたいにキメの細かい肌は、(うらや)ましいくらい。  メガネで隠そうとしても、隠しきれないこのイケメンは……。 「しっ、白河(しらかわ)君っ?」  私は勢いよく起き上がり、大声で叫んだ。  ブルンっと私の大きすぎる裸の胸が揺れて、お腹の方まで丸見えになる。  慌ててはらりと背中から滑り落ちた毛布をかぶり直して、響いた自分の声に頭を押えた。    いたたた。  頭痛い……。 「おはよう、桃花(ももか)。  ずっと見てたけど、寝起きの桃花も可愛いね」  メガネの奥から、(まばた)きもせずにガン見している白河君の視線の先は、私の顔よりも下の方。  横座りして、太もものきわどい所まで(あらわ)になった脚に釘づけだ。 「いやぁぁっ。  なんで?   なんで白河君っ?   なんで裸っ?」  悲鳴を上げ、肌触りのいい毛布を引っ張って身体を隠す。  ここ、どこ?  どういうこと?  なんで?  ……え、なんで?  25年の人生で最大級の恥ずかしさと混乱に加え、押し寄せる疑問の波が、私の語彙力(ごいりょく)を奪い、同じ単語しか出てこない。
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