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「紅先輩、俺が持ちますよ」
レイエスフーズのロゴマークが入った大きい紙袋に、販促品を準備して持とうとすると、サッと白河君が持ってくれる。
社内を移動しながら説明している時も、すばやくドアを開けて私が通るまで押さえててくれたり、棚から重いファイルをとろうとしても、すぐに代わって取ってくれた。
こういうの、なんて言えばいいんだろう?
白河君って、レディーファーストっていうか、態度がすごく紳士的なんだ。
この大きな胸や、幼く見える顔で、時々下心のある男性に優しくされることがあるけど、その時に感じるような嫌な気持ち悪さが、白河君には無い。
恩着せがましく『やってあげてる感』も無くて、素直で謙虚なところに育ちの良さを感じる。
それにファッションモデル並みに背が高くてスタイルがいいから、ジャストサイズのスーツ姿は良く似合っていて、とても素敵だと思う。
だけどせっかく生まれ持ったポテンシャルも、ボサボサの長い前髪と、少しダサい黒縁メガネで台無しだ。
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