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『なんの話をしてるんだ?』っていうような、周りの目が気になっちゃって、私は無意識にヒソヒソ声になる。
だけど白河君は周囲のことを気にしてない様子で、手に持ったままのヘアワックスを鼻に近づけると、大きく息を吸い込んだ。
そして、静かに息を吐きながら肩を下げると、まるで花が開くようにフワッと微笑む。
その笑顔はとても自然で、はにかんだような初々しさを含んでいて、私は思わずドキッと胸が高鳴った。
うわぁ、イケメンが笑うとこんなにカッコイイんだ……。
「すごく、イイ!
白河君、その笑顔だよ。 すっごく素敵」
更に照れたように笑う白河君に、私も笑顔になりながらコクコクと頷く。
これなら営業先でも大丈夫そう。
私が喜んでいると、白河君は私のヘアワックスを差し出した。
「このワックス、紅先輩と同じいい香りがするんで、良かったら俺にください。
同じものを買ってお返ししますから」
白河君はだんだん慣れてきたらしい笑顔で、私のヘアワックスに、また鼻を近づけて息を吸った。
ちょっと怪しげに見えるその行動に、私は不安になる。
薄々感じてたけど、白河君ってちょっとヘン。
っていうか、だいぶ変わってる?
教育係、やっていけるかな……。
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