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お店に入った瞬間から店員さんも、他のお客さんも、白河君をチラチラ見て頬を染めている。
外を歩いている時も、営業先でも、白河君は視線を集めていた。
ちょっとダサいかなって思ってた、黒縁メガネもイケメンの白河君がかけていると、おしゃれアイテムみたいになる。
まるで芸能人が変装のためにかけてる伊達メガネみたいだ。
「たしかに白河君って顔を隠してないと、人から見られるね」
コソッと白河君にささやくと、少し上手になった笑顔で私に優しく微笑みかける。
「紅先輩が横を歩いてくれていると嬉しくて、他人の目なんてあんまり気にならなかったです。 ありがとうございます」
思ってもないところでお礼を言われて戸惑い、つい愛想笑いしてしまった。
逆に私が白河君の隣にいたら「すごい身長差」って悪目立ちして、見知らぬ人から笑われてたよ。
でも、笑われてたのは白河君じゃなくて、私だから……まぁいいか。
『チビ』で失笑されるのを、スルーできるスキルは、とうの昔に習得済みだ。
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