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一応、説明は全部終えて、白河君には帰り支度をするように促した。
「じゃあ、白河君。 また明日ね。
お疲れ様」
「紅先輩、俺、待ってましょうか?」
アップにした前髪が少し落ちてメガネにかかるのを、片手でサッとかきあげる仕草さえもイケメンモデルみたいな白河君が、心配そうに見つめる。
「ううん、大丈夫だよ。
白河君、新しい部署で疲れたでしょ?
早く帰って、ゆっくり休んでね」
白河君が退社するのを笑顔で見送ると、豊崎グループ長のデスクへ向かった。
「グループ長、何でしょうか?」
パソコンに向かっていた豊崎グループ長は目を上げて、社内の休憩スペースへ行くように促す。
「紅、何がいい?」
自販機から豊崎グループ長が、飲み物を奢ってくれた。
「ありがとうございます、ごちそうさまです」
私は、いつもの無糖ストレートティーを選ぶ。
「今日一日、お疲れさん。
白河、どうだった?」
豊崎グループ長は自分の炭酸飲料を、プシュッと音をたてて開けた。
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