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「桃花、大丈夫? まだ気持ち悪い?
水持ってこようか?
朝飯作ったけど、味噌汁くらいなら飲めそう?」
会社では『紅先輩』と、私のことを名字で呼ぶのに、さっきから『桃花』って名前を呼び捨てにされている。
目が覚めてから疑問だらけだ。
桃花?
朝ご飯?
お味噌汁?
……お母さんか?
キレイな顔をしたイケメンの心配っぷりが、まるで母親みたいだと思ってしまうくらい、頭の処理は追いつかずパニクっている。
白いTシャツに、黒のスウェットパンツでラフな格好の白河君も起き上がった。
引き締まった身体の線が、普段のスーツ姿の時より明確で、顔だけじゃなく全身で容姿端麗の雰囲気を醸し出している。
あ……よかった。
白河君が服着てて、私だけが裸なら……セーフ?
……いやいやいや、セーフじゃない!
アウト、アウトでしょ。
自分で自分にツッコみながら、痛い頭を抱えている私のことを、白河君はいつもするように黙って凝視していた。
白河君って私のことを、まるで目で録画してるのかってくらい、めちゃくちゃ見てくる。
本当にSF映画にでてくるみたいなAIロボット……じゃないよね?
混乱しすぎて、おバカなことまで考えてしまう。
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