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考えてみれば、そりゃそうか。
新入社員が、いきなり社長のポストを脅かす存在になるなんて、頑張って社長まで上り詰めた和田社長にとっては、キツイことかもしれない。
二代目の和田 輝明現社長は、白河会長とは何の血縁関係もなく、実力で昇進していった叩き上げのすごい人だ。
一代で大企業まで発展させた白河会長のことを崇拝していると、いつだったかの社内訓示で話していたのを覚えている。
だけど『白河会長の白河派と、和田社長の和田派で、上層部の水面下じゃ結構バチバチの関係らしいぞ』って、先輩たちは噂していた。
「白河はT大卒で、本人の能力は高いし。まぁ会長のコネなんかなくてもトントンと出世していきそうだけどな。
俺なんかすぐに追い抜かれそうだ」
いつものように豪快な大きい声ではなく、自嘲的に豊崎グループ長は力なく笑う。
なんとなく豊崎グループ長の様子が、いつもよりも落ち込んで見えるけど、気のせい?
「まぁ、役職がつけばつくほど、思ってもない人から嫌なことを言われることもあるから、一概に出世するのが良いってこともないかもだけどな」
また少しペットボトルを傾けた豊崎グループ長と同じように、私もストレートティーを飲む。
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