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ため息をつくように言った豊崎グループ長は、少し疲れた表情だ。
出世するって、大変なんだな……。
私は、今の仕事が楽しいから、あんまり管理職に興味はないけど。
「まあ、でも!」
急に元気のいい声を出した豊崎グループ長に驚いて、私はお茶をむせてしまうところだった。
ゲホゲホ。
「初期教育が大事だからな、紅。
短い間だけど、白河のことをしっかり頼むな。
あと週末に、歓迎会するから、幹事もよろしく」
席を立った豊崎グループ長は、休憩スペースからオフィスに戻るために歩き出すが、立ち止まって振り返りニカっと笑う。
「幹事さん、いい感じのとこの予約お願いな」
微妙なクオリティのダジャレに愛想笑いして、私は休憩スペースに残った。
お茶を飲みながら、明日からの白河君の指導について考える。
私も新人の頃、先輩に色々と教えてもらったから今がある。
高い能力で出世しそうなタイプなら、もっとガンガン指導しても大丈夫かな?
よーし、明日からも新人指導と営業を頑張るぞ!
だけど翌日出勤した白河君に、また驚かされた。
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