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蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会
翌日、出勤するとリテールグループのオフィスが、ちょっとザワついている。
「おはようございまーす」
いつものように挨拶しながら入ると、私のデスクの隣に座っている背中が振り返った。
「おはようございます。紅先輩」
椅子から立ち上がり、私の方へきれいにお辞儀して挨拶したのは白河君。
だけど、昨日のモッサリとした髪型じゃなくて、前髪をアップして、きれいにカットした清潔感のあるナチュラルな短髪になっている。
しかも小顔過ぎて顔の半分くらいの面積を占めていた、太いフレームの黒縁メガネを外してて、その美貌が丸見えだ。
それに練習した微笑みを浮かべている。
昨日はネクタイを締めていたが、やっぱり外回りが暑かったのか、今日はクールビズ仕様でノーネクタイだ。
サイズ感がぴったりのスーツ姿は、新入社員というより、売れっ子モデルがファッション誌から抜け出してきたみたい。
うっわ、イケメンすぎてまぶしいっ。
「あれが白河君? 会長の孫の?
すっごいイケメンじゃん!」
商品営業部内の、他のグループのスタッフたちにまで、白河君のルックスの良さが話題になっているようで、朝から騒がしいのはそのせいだった。
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