蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会

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 外回り中の空き時間に、冷房が効いたカフェでちょっと一休み。  天気予報ではカラ梅雨だと言っていたけど、ここ3日間晴天続きで、気温も毎日上昇している。 「営業は『明るく、元気に、爽やか』が鉄則だと、(くれない)先輩に教えてもらって、努力して自分を変えようとしているんです」  何でも器用に完璧な仕事をする白河君が、努力しているという意外な言葉に感心した。  白河君ってすごいな。  今は短期間の新人研修だし、黙ってても社長まで出世できるかもしれないのに、営業の仕事を一生懸命やって、本当に(えら)い。  年下だけど、尊敬する。 「白河君が頑張ってくれるから、私も教育係として指導する立場なのに、すごく勉強になるよ。  私が新人の時は失敗ばかりで、白河君みたいに優秀じゃなかったもん」  2人ともジャケットを脱いで、多めの氷でキンキンに冷えたアイスコーヒーを飲んで笑いあう。 「(くれない)先輩が、優しく丁寧に教えてくれるから、毎日がすごく楽しいです。  無気力、無反応、無表情なんて言われてきた俺が、こんなに笑顔が作れるようになるとは思っていませんでした。  ずっと(くれない)先輩のもとで働きたいです」  白河君は嬉しいことを言ってくれる。
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