蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会

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 気を抜くと、すぐに無表情に戻ってしまうけど、この1週間でだいぶ白河君の表情が読めるようになってきた。  顔面がきれい過ぎて、表情が乏しく見られがちだけど、素直な性格の白河君はよく見るとわかりやすいと思う。  その証拠に今は、ほんのちょっとだけ、いつもよりも眉が下がっていて、楽しんでいる顔だ。 「白河君が楽しく仕事をしてくれててよかった。  だけど、白河君は私の下っていうより、すぐに上司になっちゃいそうだね」  冗談っぽく笑った私を見て、白河君は何か(ひらめ)いたように、きれいな目を輝かせる。  上司と言うか、会長の孫だから社長になっちゃうかも、なんだよね?  そういえば会長の子ども、つまり白河君の親御さんってどうしてるんだろう?  レイエスフーズの社内には会長の親族って、たしかいないはずだ。 「ね、聞いてもいい?  白河君って、会長のお孫さんだから、この会社を継ぐつもりで入社したの?  ご両親って、何の仕事されてるの?」  ちょっと聞いてみたかった質問をぶつけてみた。
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