蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会

7/31
前へ
/84ページ
次へ
「父は公務員なので、民間の企業には関われないんです。  そうでなくても祖父と、父は折り合いが悪くて。  父からは会社を継ぎたくなかったから、祖父とは違う道を歩んだと聞いたことがあります」  税金対策で、親族が企業の役員になるっていうのは、よく聞く話だけど。  そっか、白河君のお父さんって外交官なんだ。  公務員ってたしか、企業の役員とかになっちゃいけないんだっけ?    白河君のおじいちゃんである会長と、お父さんって仲が悪かったんだ。    会社の裏事情を知った気がして、へぇーって思わず声が出る。 「海外って、どこにいたの?」 「生まれたのはオーストリアのウィーンで3歳までいて、日本に帰ってきました。  そしてまた今度はイギリスに、小学校3年から中2までいました。     それからは、もう父の転勤にはついていかずに、日本に住んでいます」  白河君の仕草が、レディーファーストなのが(うなず)ける。  ずっと日本で育った男性と、どこか違う気がするんだ。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加