蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会

8/31
前へ
/84ページ
次へ
「へぇー、すごい。白河君って、帰国子女なんだ。  だから紳士的なのかな?  じゃあ、英語はペラペラ?」 「紳士的……か、どうかは自分で判断しかねますが、英語は日常会話程度です」  自分のことを、まるで業務上の質問に返答するように、無表情に過不足なく答えてくれた。  これまで遠慮してほとんどプライベートなことは聞かなかったから、先輩として後輩のことを知ることが出来てちょっと嬉しい。 「あの、(くれない)先輩。  俺、小学生の時算数が好きで、塾に通っていたんですが……」  白河君が話し出した時、スマートフォンのアラームが鳴る。  次の訪問先へ行く時間だ。  急いでアイスコーヒーを飲み干す。 「ごめん、白河君。   また算数の話はあとで聞かせてくれる?」  今夜は白河君の歓迎会だし、もう少しいろんな話ができるといいな。 「じゃ、次のとこに行こうか」 「はい、(くれない)先輩」  白河君は当然のように、私が飲んだグラスも一緒のトレイに乗せて、食器の返却口に持って行ってくれる。  お礼を言う私に、目線を合わせるようにお辞儀して、きれいに微笑んだ。  うーん、やっぱりイケメンの白河君が笑うと最強。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加