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「へぇー、すごい。白河君って、帰国子女なんだ。
だから紳士的なのかな?
じゃあ、英語はペラペラ?」
「紳士的……か、どうかは自分で判断しかねますが、英語は日常会話程度です」
自分のことを、まるで業務上の質問に返答するように、無表情に過不足なく答えてくれた。
これまで遠慮してほとんどプライベートなことは聞かなかったから、先輩として後輩のことを知ることが出来てちょっと嬉しい。
「あの、紅先輩。
俺、小学生の時算数が好きで、塾に通っていたんですが……」
白河君が話し出した時、スマートフォンのアラームが鳴る。
次の訪問先へ行く時間だ。
急いでアイスコーヒーを飲み干す。
「ごめん、白河君。
また算数の話はあとで聞かせてくれる?」
今夜は白河君の歓迎会だし、もう少しいろんな話ができるといいな。
「じゃ、次のとこに行こうか」
「はい、紅先輩」
白河君は当然のように、私が飲んだグラスも一緒のトレイに乗せて、食器の返却口に持って行ってくれる。
お礼を言う私に、目線を合わせるようにお辞儀して、きれいに微笑んだ。
うーん、やっぱりイケメンの白河君が笑うと最強。
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