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「なんか身長のバランスが、お父さんと小学生の子どもみたいだよな」
畑田君は笑いながら、私のコンプレックスをつついてきた。
周りのみんなもそう思っているのか、一緒になって笑っている。
「もう、ヤダなぁ、畑田君。
誰がお父さんなのよ! せめてお母さんにしてよ」
「いや、紅さんの方が小学生でしょ」
私がわざとボケると、畑田君は楽しそうにツッコんで、みんなも更にウケた。
こういういじりには慣れっこだ。
コンプレックスをわざと笑いものにされるのは、心の中でチクッと刺さるトゲみたいで、嫌な気分になる。
でもせっかくみんなが楽しんでいる雰囲気を崩せない。
まぁ、みんなが面白く、楽しくなってくれたらいいんだけどさ。
私が愛想笑いを浮かべていると、ドンっとビールジョッキをテーブルに置いた白河君が、畑田君を睨む。
「俺には紅先輩は、小学生には見えませんけど。
素敵な大人の女性です」
私をいじる雰囲気をぶった切った白河君は、完全に目が据わっている。
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