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「ちょっと! なんですか、私の手が早いとかっ。
白河君に手なんか出してませんよ」
私は顔を熱くしながら抗議し、ビールジョッキをグイグイ飲み干す。
「紅先輩には、俺から手を出すつもりです」
「ひゅーぅ」
白河君はいつもの無表情で、きれいな瞳を私に向け、とんでもないことを言い出し、はやし立てる声はますます大きくなる。
「AIロボットみたいな新人と、ロリ巨乳ちゃんの組み合わせってウケるな」
リテール内でトップの成績である前田先輩が、大きな声で言ったことに、私はちょっと嫌な気持ちになった。
『ロリ巨乳』だなんて、ひどい。
子どもっぽく見える外見も、胸が大きいことも気にしてるのに。
だけど、雰囲気を悪くしそうで、「イヤ」だなんて言えない。
お酒の席の、ただの冗談。
さっきみたいに、軽く流したら済むことだ。
私は愛想笑いをして、なんて言おうか考えていると、テーブルに手をついて、白河君がいきなり立ち上がる。
「前田先輩、『ロリ巨乳』って単語はセクハラじゃないですか。
コンプライアンスに抵触します。
即刻、紅先輩に謝罪してください」
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