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中学から女子校だったせいか、自分に対する質の悪い言葉には、受け流すクセがついている。
『冗談だよ』ってはぐらかされて、真面目に反論するほど面倒な子だなって思われた。
そして、同じように嫌な『冗談』を受けている友達をかばっても、『そんなガチで怒んなくても』って引かれたこともある。
だから傷つけられる言葉をかけられても、怒っていいのか分からなくなっているんだ。
白河君は、私を傷つけたのが誰だろうと、冷たい無表情に怒りを浮かべて、きっぱりと謝罪を要求する。
正義感から言ってくれてるのかもしれないけど、私のために怒ってくれるのって、こんなに嬉しいものなんだ。
もし白河君が何か責められるようなことがあったら、私だけは絶対に味方になろう。
場の雰囲気はヒヤリとしていたが、私は心の中が温かくなっていた。
『白河君、ありがとう。 もう、前田先輩も飲み過ぎですよ』
よし、この一言を私が言ったら、この南極みたいな空気感も解凍されるはず……。
私が努めて明るく言おうと口を開きかけた時、ストンと座った白河君が、小さくため息をつく。
「俺は、おっぱいが大好きですが、胸が大きいってだけで、紅先輩を好きなんじゃないです」
……ちょっと。
何を言ってるんだ、白河君。
おっぱいが大好きとか……そんな性癖発表まで。
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